中島弘貴
by ototogengo


春の日に八朔の山で

この山は瑞々しい八朔の果肉で出来ている

跳びあがったら最後、着地点の大きな粒が弾け、冷たい果汁が飛び散って付着し、べたべたする

それは乾いても斑のある黄色い染みになる

静かに歩く

気持ちのいい弾力が感じられる

静かに歩く

気持ちのいい弾力が感じられる

ちょうどいい木陰を見つける

両手を山肌につくようにして倒れこむ

気持ちのいい弾力が感じられる

大きな粒に体を圧しつけながら寝転がり、仰向けになって体をあずける

半ばうずまり、弾力が感じられている

木漏れ日と陰の色と形が、瞼のうえに見える

浅く、気持ちよく眠る

半ばうずまったまま、弾力が感じられている

木漏れ日と陰の色と形が瞼のうえに見え、うごいている



※八朔(はっさく)、斑(まだら)
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by ototogengo | 2009-05-19 23:30 | はなし
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