中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、音楽、絵、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。空島出版主宰。


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The Red Krayola/Fingerpainting

Fingerpainting

The Red Krayola / Drag City


これはやさしい混沌だ
音の焦点が外れるところと合うところを行ったり来たり
穏やかな気持ちのときに流すとそれが深まり、滅入りそうなときに流しておくと心が休まる
うたも演奏も、実に有機的で人間くさい
豊かな音楽

60年代から現在までアメリカはテキサス、イギリス、ドイツ、再びアメリカはシカゴと、場所を変えて音楽活動を続けるメイヨ・トンプソン率いるレッド・クレイオラが99年に発表したアルバム。
名作という声も高い、ジム・オルークやジョン・マッケンタイアたちシカゴ音響派のお歴々をメンバーに迎え、このバンド特有の捩れを残しつつも浮遊感を加えることに成功した前作の『HAZEL』は、彼らの長いキャリアのなかでも最もポップな作品であったと思えるのだが、本作はそれとはかなり趣を異にしている。このアルバムにおいては、まとまりを成さない音の群れが現れ、消えながら時間の経過に従って楽曲を形作っていき、それが再び分解するという過程が繰り返されるのだが、楽曲に焦点が合った部分でさえも演奏が洗練されているとは決していえない。しかし、その音楽としてのずれや違和感がやさしく、やわらかく流れているので、全編をとても心地よく聴くことができるのだ。同じような手法で作られた彼らの1stアルバム『The Parable of Arable Land』と比べれば、本作がどれほど成熟した豊かなものになっているのかを、さらに明確に知ることができるだろう。衝動や激しさにおいて、本作はあちらに及ぶべくもない。しかし本作を聴いていると、30年の時を経て、それらがいかに有機的に深まったのかということを感じずにはいられない。

誰にでも薦めることのできるアルバムではないが、自分は何度聴いても新たな驚きを感じられる本作が大好きである。ちなみに、メイヨ・トンプソンのソロ作『Corky's Debt to His Father 』に次ぐ、彼の和やかで美しい歌が多く聴けるアルバムは本作である、とも思う。
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by ototogengo | 2010-03-18 03:56 | 本や音楽などの紹介 | Comments(0)
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