中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、音楽、絵、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。空島出版主宰。


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『星をまるめる女の子』

彼女は最近新しい仕事をはじめた。薄い手袋をはめた両手で、できたてのいびつな恒星をまんまるく整える作業をしているのだ。超高温のやわらかいそれが温度を安定させて固まるまでにほぼ完璧に仕上げ、やすりで磨きあげるという次の工程を担当する者に渡すのだが、こつを覚えるまではなかなか難しくて何度も何度もやり直した。今でも、少しでも気を抜くと手元が狂って失敗してしまう。

休けいに入ってから少しの間、彼女はいつも星を作る全工程を一途に、しかし夢を見るような心地で眺める。
まず、雲や氷や石や金属でできた星の素を耐熱加工したダイヤモンドの串で刺して炉に入れ、それを回しながら満遍なく火を通し、どろどろに溶けだしたり爆発を起こしたりする直前に取りだす班があり、それを彼女の属する班の者たちが先に記したとおりにまるく整える。次に、一つ一つ異なる大きさや模様や輝きを持つそれらは次の班によってつるつるに磨かれ、最後の班の者たちによって宙(そら)の四方八方の近くや遠くに放り投げられ、そうして落ちついた場所でちかちかぴかぴか光るのだ。
眺めながら、そのように大切で美しい仕事の一端を担っていることを実感すると、彼女にはうれしくて誇らしい気持ちが湧いてくるのだった。

その仕事をはじめてから、彼女は眠りにつく前に自室の窓から星空を眺める日課をつくった。あふれる感動と親しみをこめて新しく加わった星ぼしを順番に見つめてから空の全体をじっくりと見まわすのだ。彼女にとってそれらの星ぼしの一つ一つはかけがえがなく、それが日に日に増えていくことはえも言われぬよろこびだった。
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by ototogengo | 2011-12-31 20:46 | はなし
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