中島弘貴
by ototogengo


『わたしの家族』

大きなシャボン玉のなかをのぞきこむと、小さなわたしがいた。その小さなわたしは、わたしと似ているけれど少し違う。その小さなわたしもシャボン玉をのぞきこみ、さらに小さな私を見つめていた。そのさらに小さな私は、小さなわたしと似ているけれど少し違う。そして、わたしとはもう少し違う。そんな風に、わたしは小さくなるにつれて少しずつ違っていく。
すると、シャボン玉が割れた。ロシアのマトリョーシカという人形みたいに、わたしとシャボン玉から出てきた小さなわたしたちは大きい順に並んでいた。8人目まではなんとか見えたけれど、その先は小さすぎて見えない。
すると、小さなわたしたちはむくむくと大きくなって、みんなわたしと同じくらいになった。 たぶん全員で何万人もいたけれど、9人目から先はどうしてもわたしと似ていなかった。100人をすぎたあたりからは、どうしても人とは思えなかった。1000をすぎたあたりからは、どうしてもこの星の生きものには見えなかった。5000をすぎたあたりからは、生きものであるかどうかさえも分からなかった。
それでもわたしは、みんながみんなわたしの家族だと思っているので、何とか仲良くしていきたいと思う。
[PR]
by ototogengo | 2013-01-20 18:33 | はなし
<< 『岩のなかの透明な樹』 『しっぽ』 >>