中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、音楽、絵、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。空島出版主宰。


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<   2009年 05月 ( 6 )   > この月の画像一覧

5月28日 夜

柔色(やわいろ)の内臓は満ち満ちた空間のなかを占め、そこここに双子葉類が芽生える

縮れた細い根の生きたかたちに、軟らかい毛に覆われた獣たちが群がる

銅(あかがね)色の灯りをぽつぽつと、陰の点描を流し退(の)け、まろやかな黒みを増す

銅色の灯りをぽうぽうと、陰の点描を流し退け、まろやかな黒みを集め増す
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by ototogengo | 2009-05-29 01:13 | 言葉 | Comments(0)

5月26日 朝

あちらが透けるほど薄く輪切りにされた、様々な大きさと形の穴を持つ海面に似た葉が、ところどころで癒着し、ところどころで小さく孤立しながら、重なる部分は一切なく、茎を持たずに集まり、散らばっている

それらはなめらかな斑(むら)のある薄い黒色で、輪郭の周辺はやわらかに、白く照り映えている

それらと密着した、もしくは重なった、さもなくば離れた場所に浮かぶ花弁は、少し仰ぎ、もしくは少し俯き、または心持ち横向き、さもなくば真正面を向いて、鮮やかながらも物悲しい赤色をしている

重なった花弁の間にある、うつくしい、豊かな陰

なぜこんなにも悲しいのか
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by ototogengo | 2009-05-26 10:39 | 言葉 | Comments(0)

春の日に八朔の山で

この山は瑞々しい八朔の果肉で出来ている

跳びあがったら最後、着地点の大きな粒が弾け、冷たい果汁が飛び散って付着し、べたべたする

それは乾いても斑のある黄色い染みになる

静かに歩く

気持ちのいい弾力が感じられる

静かに歩く

気持ちのいい弾力が感じられる

ちょうどいい木陰を見つける

両手を山肌につくようにして倒れこむ

気持ちのいい弾力が感じられる

大きな粒に体を圧しつけながら寝転がり、仰向けになって体をあずける

半ばうずまり、弾力が感じられている

木漏れ日と陰の色と形が、瞼のうえに見える

浅く、気持ちよく眠る

半ばうずまったまま、弾力が感じられている

木漏れ日と陰の色と形が瞼のうえに見え、うごいている



※八朔(はっさく)、斑(まだら)
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by ototogengo | 2009-05-19 23:30 | はなし | Comments(0)

疲労の水

疲労の深くやわらかな水中を漂え

割れない細かな細かな泡たちが、何層にも何層にも棚引いて体を撫でる

開いて閉じる、開いて詰まる、泡、泡、泡

その奥まった構造

淡い白と黒の酩酊

体の中芯は留められている

水や泡が流れ過ぎていく

五体はおもに上へ、ときに横へゆらいでいる

和らぐ 安らいでいる
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by ototogengo | 2009-05-17 01:07 | 言葉 | Comments(0)

水滴の森について

水滴の森を懐かしく眺めています

一粒一粒のなかにはまるく歪んだ線が何本も並び、重なっています

それらの歪むさまも並ぶさまも重なるさまも、少しずつ違っているのです

それぞれの水滴のなかには、他にも薄い緑じみた染みが映っています

水彩絵の具が落ちいって沈殿したかたちで映っています

それにしても、節くれだった樹々の幹や枝のなんと力強いこと!

眺めていると、その形のまま大きくなってこちらに迫ってきます

涙のかすかに白く濁った膜がゆるゆると波うち、しかしそれは決して零れてはならないのです

豊かな、やわらかい足音

その音を構成する小さな一つ一つが少しずつ浮き上がり、やがて速度を増して昇り、やがて見えなくなります

見上げると、まさに空に吸い込まれていく、といった様子です

それらは白いような黄色いような反射でときどきぼう、と光っています

いつのまにか、かすかに白く濁った薄膜は透きとおり、やはり水滴の森を歩いてゆきます
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by ototogengo | 2009-05-16 00:30 | はなし | Comments(0)

5月8日

細胞壁のように白めいた輪郭のある、透明の影は交わっている

水中でたゆたう長いクラゲの足に似る、剥がれた輪郭の垂れる波うち

ああ、その背景の青色にどうしても惹かれる

詰まった小さな小さな粒の集まりで深く深く、淡く淡い

やはり粒の密集したところへ焦点が定まり

それらをさふ、さふと優しく押しのけ、掻きわけるように凝視する
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by ototogengo | 2009-05-08 01:19 | 言葉 | Comments(0)