中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、音楽、絵、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。空島出版主宰。


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<   2010年 04月 ( 11 )   > この月の画像一覧

開き直る

少なくとも暫らくはこうやる、こうあるしかない。おれにできるのは努力を続けることだけ。その過程でこれからも、これまでもそうやったように、自分の在り方が、それに付随して思考と行動も変わっていくんやろう。その変化の全てを自身で選ぶことはできん。この思考、行動の継続と、それが起こす、もしくはそれを誘引する環境。その二つの異なる要素の配合がその変化を決めるんやろう。つまり、それは環境に大きく左右される一方で、自分が何も行動、思考せんかったらその環境を生み出すこともできん。今ある状況、個人や立体の活動とそれに関係する人たちとの交流や、高円寺に住む路上演奏仲間たちとの交流はそれなしには生まれ得んかった状況に違いない。
つまり、この思考、行動を続けて、それによって環境が変わるのを待ち、時には環境を積極的に変えていくしかない。
おれが人生を懸ける価値を見出せるものは音楽、文学活動しかない。そして、だからこそ、それを続ける才能も持ち合わせとると思う。やろう。続けよう。
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by ototogengo | 2010-04-30 12:18 | 日記

『きのこの人』

それは小さい、大きい、細い、太い、平べったい、つるつるした、でこぼこした、網のある…体に根差した沢山の種類のきのこに覆われた人でした

薄黄色、黄色、白、茶、褐色、橙、赤、深緑、薄紫…色とりどりに、同じ種類が比較的近い部分に集まって生えています

彼、もしくは彼女は恐らく裸なのでしょうが、服を着ているのか、着ていないのかも見分けがつかないくらい、きのこたちにびっしりと、にょくにょくと、にょきにょきと覆い尽くされているのでした

きのこたちは胞子を一斉に吹き出して、それらの大きさや色、形の違う夥しい小さな粒々が煙になって、その人の体から立ち昇ります

そのときに彼、または彼女がどんな気持ちでいるのか、知りたくてたまらないのですが、いくら話しかけても答えてはくれません

話ができないのでしょうか

しかし、この前の気持ちよく晴れわたった日の午後、

その人が男の人のものか女の人のものか区別のつかない、高くて細い綺麗な声で歌っているのを、たった一度だけ聴いたのです

それはそれは美しい歌でした

やっぱりあの人は言葉を話せるけれど、話をしたくないだけなのでしょうか

もっとも、それに詞はなかったので、あの人は声を発せるけれど、言葉は話せないのかも知れません

あるいは、あの人ではなく、きのこたちがみんなで歌っていたと考えられなくもないのです
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by ototogengo | 2010-04-28 11:59 | はなし

昨夜の洞窟

今夜は洞窟へ入りこもう

壁も天井も床も、穏やかに明滅する淡い石でいっぱいで、それらは釣鐘型の小さな花をびっしりと咲かせている

やさしい甲虫たちはゆるゆると洞内を這いながら高熱を持たない火を蝋燭に灯す

その炎は中心が若葉色で周りが淡い空色、ちろちろと燃えている

やわらかい音楽が絶え間のない旋律で流れている

長い長い、息継ぎのない透明な声が続くようだ

ずうっと進んで
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by ototogengo | 2010-04-22 13:31 | 言葉

動物や植物でできた人の話、内巻きの光る帯になった男

あらゆる鉱物は遥か昔に動物や植物だったという

多くの惑星は遥か昔に動物や植物だったものが積み重なり圧縮されて生まれたという

かく言う私も、遥か昔に動物や植物だったものが集まってできているのだ

ほら、ここにシダの葉のような模様が、ここには貝殻の襞のような線がうっすらと見えるだろう?

ごらん、この指の節くれはイチョウの大樹の幹だったし、眉毛のこの部分はヤマキツネの体だったんだよ



―――――――――――――――――――――――



横たわった彼の体は金属光沢をたたえ、長く伸びて、ううるぐる巻いていくのだった

ゆるむると少しずつ、顔も手足も高いところは低く、低いところは高くなって体平線を形作り、のっぺりと丸みのある帯になる

大きな円の中心へ最長距離をとって近づきながら、ぐうるうる回るのだった

ううるぐる

ぐうるうる

ぐるぐる

ぐるうる

うるうる

ううる

うる

しゅう

しゅん

おしまい
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by ototogengo | 2010-04-21 04:13 | 言葉

『初めて体が透きとおったときに聞いたこと』

「ほら、あなたの体が黄色に透きとおっていくのが見えるでしょう」

「体中を巡る鮮やかな黄色の流れが少なくなり、やがてそれは体の形をした半透明の薄い膜でしかなくなる。ついには霧のように細かく細かくなって、犇めき合いながら消えていくのです」

「恐がることはありません。体が消え去っても心の働きが途切れることは決してないですし、その心境を脱すれば体もちゃんと、消える過程を逆に辿って元通りになりますよ」

「ほら、私の声も元のまま聞こえる、というか感じられるでしょう?個人差はありますが、これは一日に数回起きる現象なので、じきに慣れますよ」

「そうですね…、極端に少ない方で一日に一度あるかないか、多い方だと一日に20回以上経験する場合もあるそうですが、平均は一日に4、5回というところでしょうか」

「ただし、注意事項があります。白や水色や桃色に透きとおるのは…そうそう、薄緑のときもありますね、まあ、それらの場合は黄色と同じく問題ありませんが、紫や黒に透きとおるのは危険です。程度がひどいと元に戻れなくなるので、症状が現れたときにはできるだけ早く横になって休んで下さい」

「大丈夫、睡眠を十分にとって疲れを溜め込まなければ、そうなる心配はまずありませんから」
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by ototogengo | 2010-04-19 18:28 | はなし

河が流れる

目を瞑った暗闇のなかに‏水が溢れて流れだす

枝分かれしながら広がり、自分を中心に放射される河は七本の樹の姿をとる

背の高いもの、枝垂れるもの、幹の太いもの、枝の細かいもの、真っ直ぐのもの、丸っこい灌木、捩れの激しいもの

黒を穿って細かく煌めく澄んだ流れがついつい伸び続けて
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by ototogengo | 2010-04-16 03:26 | 言葉

今夜のはなし

夜中に目を覚ますと、巨大な昆虫の‏腕が下から伸びて、カーテンレールに鉤のような先端を引っかけている。
体に乗っかった掛け布団に隠れて胴体は見えないが、腕だけでも優に2メートルはありそうだ。
暗い部屋のなかで、わずかに青みがかった赤色をしているそれは、明るいところでは恐らく深い臙脂色に見えるだろう。
蟷螂か蜻蛉か甲虫か。正体を確認する勇気はないので再び目を瞑ることにするが、眠りにつきたいという願望に反して頭が冴えてきた。

こちらに近付いてくるかも知れない。引き裂かれて、むしゃむしゃ喰われるかも知れない。
あるいは、こちらに興味を示さず、歩き回るか飛び回るかも知れない。そうすると、ふとした拍子に踏みつけられるか、乗っかられるかも。
それとも同じ場所で、または部屋の隅に引っ込んでじっとしているだけだろうか。

いずれにせよ、どうすることもできないので放っておくことにする。玄関からも窓からも、あの大きさでは出ることができないだろうし、仮に何とかなるとしてもそれを実行する気概はないのだ。
じっとしていてくれるか、動いてもこちらに危害を加えないことを願って、このまま眠りにつくのが一番なのだ。
断じて目は開かないぞ。
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by ototogengo | 2010-04-15 00:43 | 言語

いい食べ物といい音楽

一昨日の晩、東京は高円寺の古書酒場コクテイルで斉藤友秋さんのライブを見ました。
ライブの後、斉藤さんとじっくりお話をする機会があったんですが、そのときにとても印象深いことを聞いたのです。要約すると、「一番おいしい食べ物はフォアグラやキャビアのような珍しい食材を使った贅沢料理じゃなくて、一流の料理人の作った家庭料理だ、という話を聞いたことがある。音楽も同じように、耳に心地のいい、例えば『通りゃんせ』のような、日常に根差した歌をすばらしいと思う。そういう曲を作りたいね」、というお話でした。それは自分自身がここ一、二年間で考えていることとも大いに関わりがあり、深く共感しました。時期や場所に関係なく演奏できる、そして誰もが聴ける音楽を作るように心がけたい。

ともあれ、二曲の新曲を録音しました。

http://www.myspace.com/nakashimahiroki

『待とう』

待とう

いつでも、いつまでも

待とう

きっと良くなる

待とう

うたおう


『何もない一日はない』

何もない一日なんてないよ

昨日も今日も明日も明後日もそうだろう

いつものことはいつでもいつもと同じはずがない

何かが起こっているだろう

何かが起こせるだろう

少しだけ考えてみれば分かるだろう

何もない一日なんてないよ
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by ototogengo | 2010-04-09 15:10 | 日記

本の虫

本の虫の翅は薄く何重にもなっているので、ページさながらに容易く捲れる
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by ototogengo | 2010-04-08 19:15 | はなし

4月6日

緩やかに緩やかに回って昇っていく

大きく、大きく、次第に小さく

軌跡は逆竜巻形になるだろう

彼は今、その真ん中を少し過ぎたところにいて、ようやく夢見心地から覚めた

さて、頂上に達したとき、いかにして停止せず、次いでそこから真っ逆様に落下せずにいられるか、彼は考えていた

その瞬間、今の回転と逆向きに体を素早く捩じって、軌跡を遡ろう

そうだ、それができない道理はないのだ
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by ototogengo | 2010-04-06 16:06 | はなし