中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、音楽、絵、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。空島出版主宰。


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絵と音楽の共同制作『交感』二往復目終了

サマさんが描き加えて下さった素敵な絵に↓
c0129064_12254734.png


さらに音を加えました↓


製作者二人のコメントなどの詳細はこちら↓
http://nakasama.blogspot.com/
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by ototogengo | 2012-02-26 12:30 | 共作 | Comments(0)

『宇宙の遊牧民』

宇宙の遊牧民たちは宙に放して一緒に暮らしている魚たちを連れて透きとおった黒い空間を渡っていた。時々、彼や彼女たちは歩きながらぴかぴかと角ばってくっつきあう黄鉄鉱の一欠けらを小さな布袋から取り出して食べる。それはすべすべと手触りがよく、ほんのり甘く冷たくて何億光年も移動する彼らを力づけるのだった。一方、魚たちには細かく砕かれた、さわやかないい香りのする桃色や青や黄や紫をした蛍石をそっと浮かべて与える。ぼんやりと光るそれらが魚たちに呑みこまれると、半透明の体をした彼ら自身も幽かに光を放ちはじめるのだった。

宇宙の遊牧民に永住の地はない。それが彼らの人生であり、そこには悩みや苦しみももちろんあるが、幸せやたのしみもまた多くあるのだ。数日前にはぷりぷりした一群の真ん丸い卵から魚の子供たちが生まれたし、今日は静止して羽ばたいている蜂鳥そっくりに見える深い薔薇色の星雲に遭遇した。星の死の強烈な炎と光に浸されたこともあったし、すみわたる静寂のなかを進むこともあった。

旅をしていると発見は尽きない。しばらく同じところに留まっているときも同様である。彼や彼女たちは今日も笑い合い、時に励まし合い、もっと稀に言い争いをしながらも宇宙を渡っていくのだ。
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by ototogengo | 2012-02-25 11:36 | はなし | Comments(0)

絵と音の共同制作『交感』

http://nakasama.blogspot.com/

2/18からたくさんの黒い線で奇人や不思議な動植物を描くサマさん(http://sama-mode.blogspot.com/)という素敵な絵描きさんと共作をはじめました。

サマさんが描いた絵に自分が音楽をつけ、次にその音楽をうけてサマさんが絵の続きを描く…という絵と音楽のキャッチボールのような試みです。

今のところ一往復が完成。サマさんが描いた絵にエレキギターで伴奏をつけたところです。

よろしければ二分弱の絵と音楽の遊行をおたのしみ下さい。
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by ototogengo | 2012-02-21 01:13 | | Comments(2)

『小人の男の子と女の子』

小人たちは一枚葉のコートをはおっている。舟に似た枯れ葉のソメイヨシノ、紅葉したぎざぎざの楓、黄色や黄緑色をして末広がるイチョウ、青青として照る唇形の椿。風の吹くなか、思い思いの葉をまとってはしゃぎ回っていたのだ。
たった一人なじめずに隅っこでたたずんでいるのは、大きな芭蕉の葉を体にぐるぐる巻きつけた男の子だった。うつむき、さみしさのあまりに口を少しとんがらせている。そこへ、赤く色づいたマルバノキの葉を着た少女がやってきた。そして、うたうようにやさしく
「どうしたの?」
と話しかけるのだった。男の子ははにかんで
「だいじょうぶだよ」
と応えるなり、ぷいとあっちを向いて駆けていく。
女の子は見えなくなるまで彼の後ろ姿を見送ったあと、列から離れて歩く一匹の蟻を見つけるのだった。玉のような目をのぞきこんでも、迷うようにあちこちへ向かう足取りを見ても、彼女には蟻の気持ちが分からない。蟻は表情も言葉ももたないのだった。
そうして一心に蟻を見つめる彼女の肩をたたく者があった。ふりかえると、そこにはさっきの内気な男の子の姿があった。彼が背中に回していた右手を前に持ってくると、そこには真っ赤な、陽をうけて光るモリイチゴの小さく丸い一粒が手の平に乗っていた。それは小さな、とは言っても彼のさらに小さな握りこぶしよりも少し大きいのだった。
「さっきはあ…ありがとう」
彼は目を下にそらしながら言った。
「いいえ」
まっすぐに見る彼女が笑顔で明るく返した。
「これ…、きみのふくににあうとおもう。だからね、おれいにあげる」
「どうもありがとう」
「ええと、きみ…きみのなまえはなんていうの?」
「わたしはまりって言うの。あなたは?」
「ぼくはね、じみっていうなまえなんだ」
二人はそれからも話しつづけた。男の子は恥ずかしかったがとてもうれしく、たのしかった。しあわせなことに、女の子もまたたのしかったのだ。
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by ototogengo | 2012-02-17 20:51 | はなし | Comments(2)

3/3(土)に新宿THE DOORSでソロライブをします

ソロアルバム『ギター』発売記念パーティー
3/3(土)新宿THE DOORSにて

開場/開始:21時/22時
入場 :無料
出演 :中島弘貴(エレキギター、うた)


JR新宿駅から徒歩5分ほどのところにある洋服屋でソロ演奏をします。

高円寺にあるinvade3の菅家さんからの依頼で、お店で流すためのCD-Rアルバム『ギター』を録音したんですが、その発売記念ライブです。
※ちなみに制作中のジャケットは長谷川有里さんが手がけて下さっています。

演奏は30分~1時間を2セット予定しています。1セット目は『ギター』からの数曲と弾き語りを数曲、2セット目はバータイムのBGMとしてエレキギターのみで演奏をします。

立体解散以来はじめてのライブです。ゆったりしたイベントになるので気軽にご来場下さい。ちなみに、お店は朝まで開いています。


『THE DOORS』
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-32-6 大西ビル503 地図
電話:0364574306
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by ototogengo | 2012-02-15 22:30 | 出演、出展 | Comments(0)

『光の果実』

張りつめた夜の空気が裂けると、その裂け目から星のように淡い青や白や赤や黄をした光の果実たちがほろほろと、ぴかぴか光りながら零れ落ちた。両手を器にすると、重さのないたくさんの果実がみるみる、みるみると空高くまで積み上がっていった。
光の果実が落ちないようこのうえなく慎重に体を運び、緊張しながらこわごわと家へ向かったので彼の歩みはとても遅かった。しかし、果実は一つ、二つ三つと転がり落ちた。そして、それらは地面に着く前に空気のなかへ消えていくのだった。
ようやく彼は自宅にほど近い曲がり角まで来たが、それでもゆうに百を超えるであろう果実が残っていた。もう大丈夫だろうと半ば安心しつつそこを曲がると、同じく両手の平の上で塔のように積まれた光の果実を運んでいる女の人がふいに現れたのだ。
「あっ」
「きゃあっ!」
ぶつかった二人はそろって声を上げたが既に遅かった。崩れ落ちた果実たちは光を弱めながら次第に輝く霧のようになり、ついには闇のなかへ吸いこまれるようにして消えてしまった。
彼の手には三つ、彼女の手には二つの果実だけが残されていた。しばらくは二人ともが呆気にとられて固まっていたが、ふと目が合うとどちらからともなく笑った。
「すみませんでした」
「こちらこそごめんなさい」
「良ければお一ついかがですか」
「いえ、これでいいんです」
と、二人は微笑みながら会話をし、
「そうですか。では、失礼します」
「はい。じゃあ」
と、それだけを言って別れたのだった。ともにゆったりと歩いて振り返ることはなかったが、二人の顔は晴れわたっていた。温かさが彼と彼女の内側から生まれており、やわらかくなった夜にぼんやりとひろがっているのだった。
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by ototogengo | 2012-02-06 11:24 | はなし | Comments(0)

『光を愛した蜘蛛』

その蜘蛛は幼い頃から光に強く魅せられていた。そして、どうしても光が欲しかったために半透明の白く美しい網を張ったのだ。朝と昼には太陽の光を、夜には月や星の光をつかまえる。そして、次は集めたそれらを使って、光の網をこしらえたのだった。

そうしてできた光の網は色をつかまえるということが分かった。雨の日の雫や雲の灰色を、晴れた空の青を、草木の緑を、虹の七色を。それらはみんなすばらしかったが、彼がもっとも落ち着くのは、夜の色をつかまえて深い藍に染まった網にゆられながら眠るときだった。そんな網に抱きとめられて安らかな眠りにゆっくりとおちながら、彼は光をもっと深く愛せるようになったことにいつも感謝するのだった。
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by ototogengo | 2012-02-04 00:38 | はなし | Comments(0)