中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、音楽、絵、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。空島出版主宰。


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<   2014年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧

『母から聞いた心のはなし』

子供のころ、母がわたしにこう言った。
「強い風に吹かれているときは、心をしっかりとつかまえておきなさいね。そうしないと、心が飛んでいってしまうのよ。あとで心を取り戻せる場合もあるけど、それは簡単なことじゃないからね」
「無防備な心は透明な布きれのようなもので、そんなにしっかりとしたものじゃないのよ。飛ばされてしまった心は別の生きものになるの。そうね、まるで水母(くらげ)のようになって、風に乗ってひらひらしながら、ぐんぐん離れていくの」
「すると、心を失った人は寒くて寒くてたまらなくなる。別のものを自分のなかに入れてまぎらわそうとしても、全然だめか、少しの間あったまったあとで余計に寒くなるの。結局、ぴったりと合うのは心だけなのよね。そうやって、近くにあるものや目立つものを取っかえ引っかえしながら入れたり出したりしているうちに、心はますます離れていく。そうやって、心を一生取り戻せなくなる人も珍しくないらしいわ。だから、強い風に吹かれているときは、心をしっかりとつかまえておきなさいね。それでも、心が飛ばされてしまうようなことがあれば、例え大変でも、がんばって心を探すのよ」
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by ototogengo | 2014-07-15 23:47 | はなし | Comments(0)

『光の雫、水の雫』

雲の切れ間から太陽が顔を出し、すぐにまた隠れる。すると、木々の葉っぱや草花に、真珠のような乳白色の、儚い虹色のこもった光の雫が、玉をなして乗ったり、ぶら下がったりする。その一粒一粒の深みある趣、雫の群れを遠目から眺めるときのやさしげな煌めきは、何とも美しいものだ。
にわかに灰色の雲が厚くなり、大粒の雨がぱらぱら、ばらばらと降りだす。すると、光の雫がついた植物たちに、透明な水の雫が加わる。二種類の雫はお互いに反射し合ったり映し合ったり、くっついたり混じり合ったりする。その精妙な共演は、見る者を夢中にして飽かせることがない。
しかし、降りしきる雨は光の雫を覆い尽くし、洗い流してしまう。雨がやんで晴れ間が差す頃になると、光の雫は一滴たりとも残っていない。陽光を受け、水の雫が煌めいている。そのなかに、光の雫にあった儚い虹色が幽かに含まれるように見えるのは錯覚ではないだろう。陽の光に照らされていると、水の雫もじきに消えてなくなってしまうだろう。
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by ototogengo | 2014-07-04 15:41 | はなし | Comments(0)