中島弘貴
by ototogengo


「ハナクラゲについて」

16世紀後期の博物学者にして詩人のパウロ・ロベルト・ムリーリョは、カルロス1世の援助によって実現したフィリピン海~北太平洋への航海に同行し、ヨーロッパにおいて、以上で説明を行ったハナクラゲについての文章を初めて記したとされるスペイン人である。この項の締め括りとして、彼の航海日誌の抜粋を以下に掲載しよう。未知の生物に出会った作者の感動がよくあらわれた、実に優れた文章である。これを読むと、海中を漂う、うつくしいハナクラゲの姿がありありと思い浮かぶ。



薔薇の花弁のような体をもつクラゲを発見しました

色は赤に近い鮮やかな桃色

多重の深い襞が水に煽られて、ゆっくりとはためくのです

今日が晴天で本当に、本当によかった

緑青色の海水を透きとおらせ、半透明のクラゲの輪郭を黄金色に輝かせる太陽光が、彼をより一層うつくしく感じさせるのです

(空島出版『水の生き物』より抜粋)
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by ototogengo | 2009-07-09 14:45 | 空島出版 | Comments(0)
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