中島弘貴
by ototogengo


『初めて体が透きとおったときに聞いたこと』

「ほら、あなたの体が黄色に透きとおっていくのが見えるでしょう」

「体中を巡る鮮やかな黄色の流れが少なくなり、やがてそれは体の形をした半透明の薄い膜でしかなくなる。ついには霧のように細かく細かくなって、犇めき合いながら消えていくのです」

「恐がることはありません。体が消え去っても心の働きが途切れることは決してないですし、その心境を脱すれば体もちゃんと、消える過程を逆に辿って元通りになりますよ」

「ほら、私の声も元のまま聞こえる、というか感じられるでしょう?個人差はありますが、これは一日に数回起きる現象なので、じきに慣れますよ」

「そうですね…、極端に少ない方で一日に一度あるかないか、多い方だと一日に20回以上経験する場合もあるそうですが、平均は一日に4、5回というところでしょうか」

「ただし、注意事項があります。白や水色や桃色に透きとおるのは…そうそう、薄緑のときもありますね、まあ、それらの場合は黄色と同じく問題ありませんが、紫や黒に透きとおるのは危険です。程度がひどいと元に戻れなくなるので、症状が現れたときにはできるだけ早く横になって休んで下さい」

「大丈夫、睡眠を十分にとって疲れを溜め込まなければ、そうなる心配はまずありませんから」
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by ototogengo | 2010-04-19 18:28 | はなし | Comments(0)
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