中島弘貴
by ototogengo


『不思議な羊、不思議な「メ゛エ」』

一匹の羊のぼわぼわと、くるくるとなった毛玉の一つ一つは小さな羊の全身で出来ており、その小さな一匹の羊のぼわぼわと、くるくるとなった毛玉の一つ一つはもっと小さな羊の全身で出来ている。そのもっと小さな羊のぼわぼわと、くるくるとなった毛玉の一つ一つはもっともっと小さな羊の全身で出来ており…以上が限りなく続いていく。
だから、一匹の羊が「メ゛エ」と鳴くとき、大小様々な無数の羊が同時に「メ゛エ」と鳴いているのである。なんと不思議な羊、なんと不思議な「メ゛エ」だろう。しかも、そんなたくさんの羊たちは一匹として同じではない。彼らは時に動きまわり、時に草を食み、時に眠っては、羊毛のようなぼわぼわと、ふわふわとした夢を見る。そうやって、それぞれが別々の行動をとりながらも、一体となって暮らしているのだ。
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by ototogengo | 2013-03-16 02:57 | はなし | Comments(0)
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