中島弘貴
by ototogengo


『光の雫、水の雫』

雲の切れ間から太陽が顔を出し、すぐにまた隠れる。すると、木々の葉っぱや草花に、真珠のような乳白色の、儚い虹色のこもった光の雫が、玉をなして乗ったり、ぶら下がったりする。その一粒一粒の深みある趣、雫の群れを遠目から眺めるときのやさしげな煌めきは、何とも美しいものだ。
にわかに灰色の雲が厚くなり、大粒の雨がぱらぱら、ばらばらと降りだす。すると、光の雫がついた植物たちに、透明な水の雫が加わる。二種類の雫はお互いに反射し合ったり映し合ったり、くっついたり混じり合ったりする。その精妙な共演は、見る者を夢中にして飽かせることがない。
しかし、降りしきる雨は光の雫を覆い尽くし、洗い流してしまう。雨がやんで晴れ間が差す頃になると、光の雫は一滴たりとも残っていない。陽光を受け、水の雫が煌めいている。そのなかに、光の雫にあった儚い虹色が幽かに含まれるように見えるのは錯覚ではないだろう。陽の光に照らされていると、水の雫もじきに消えてなくなってしまうだろう。
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by ototogengo | 2014-07-04 15:41 | はなし | Comments(0)
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