詩 4

2018年1月11~16日に書いた三作。


「静かな虐殺」

人並みに生きるようとするほど、零れ落ちるものがある
すばらしいもの 永遠に取り戻せないもの
それが暗闇に吸いこまれ、消え去るのを視る
黄金色に輝く砂のような粒の流れだ
それを凝視する
それは一粒ごとが異なる蕾で、異なる花となって開きながら落ちていく
まっすぐにすべり、あるいはくるくると回り、あるいはゆっくりと舞う
それを凝視する
その一粒ごとを成さしめるのは、さらに小さな無数の粒と豊かな空隙
そのなかで、小さな粒たちが恒星と惑星と彗星のように軌道をえがく
銀河の数々のように踊る

殺されたのは、殺されつつあるのは、美しい宇宙の胚種
わたしは殺されなければならないのか
あなたは殺されなければならないのか
かつて、どれほど多く殺されなければならなかったのか
今この瞬間にも
永遠に



「ことばなきものたちへ」

透きとおった鉱物たちは豊かな花束のように結晶する
大きな河川たちは緻密な血管のように分岐する
小さなヒドロ虫たちは奥深い森のように群生する
わたしたちの体と心は巡回する星ぼしのように歌う

なぜ、なぜ、
ことばによって問いかけるだけでは、ことばなきものたちは答えない
なぜ、なぜと、
行為によっても問わなければならない
なぜ、そうか、なぜ、そうかと、
行為とことばを綯い交ぜ、くり返し、くり返し、問わなければ



「見えない糸で」

心は見えない糸をつむぐ
その糸は光を超える速さで伸び、ものとものをつなぐ
その糸にとっては、空間も時間も問題にならない
宇宙と深海をつなぎ、現在とカンブリア紀をむすぶ
その糸にとっては、大きさも確かさも問題にならない
プランクトンと星団をつなぎ、夢と現(うつつ)をむすぶ
その糸は心を中心にして、蜘蛛の網のように広がる
どこまでも伸び、どこまでも数を増やし、どこまでも緻密に、どこまでも複雑になる
その糸は次元を超えて伸び、未知の模様を描く
その一本ずつが震え、妙なる音楽を奏でる
何億、何兆、いや、それ以上もの波紋が干渉しあう!
全身全霊を躍らせて
森羅万象を躍らせて

一にして無限、無限にして一

走れ
飛べ
潜れ
歌え
果てしなく
果てしなく

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by ototogengo | 2018-01-16 14:45 | | Comments(0)
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