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中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、絵、音楽、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。


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詩 5

2018年1月26日~28日に書いた三作。


「ゆめうつつ」

色の褪せた現実を
鮮やかな夢幻(むげん)が呼び覚ます

優美な蛾の飛翔する
軌跡は星を舞い散らす
それの無数の煌きは
翅(はね)が銀河のありかと言う
ならばその蛾の全体は
おおきな宇宙であるはずだ

透きとおった空間で
宇宙が徐々に凝固する
それの無数の彩りは
星の歌を響かせる
それの無数の重なりは
静かに結晶を育てゆく

外へと育つ結晶は
神々不在の曼荼羅となる
内へと育つ結晶は
不可視のゆらぎの坩堝(るつぼ)となる
内と外とが巡りめき
現の世界に橋を架ける

色の褪せた現実よ
鮮やかな夢幻の苗床となれ



「ゆめのきらめき、うつつのきらめき」

闇のなかで白くきらめく、凍てつく青い石が砕け、
粉々に飛びちりながら、さらなるきらめきが踊り、
その破片は種、その光の粒は胞子
宙を飛びながら、みるみるうちに芽生えて育つ
根、茎、幹、枝葉、
蔓がからむ、ヤドリギがふくらむ、また幹、また枝葉、
宙空に鬱蒼とした森があらわれる
暗い森が彩られて光る
蕾(つぼみ)だ、花だ、果実だ、
鳥だ、虫だ、獣だ、
水晶のような鳥の声、金属のような虫の声
記憶を凝り固める、熟した果実の香りと味よ
果実を凝り固める、風と雪の冷たさよ
枯れた果実は瑪瑙に変わり、
そのなかで水晶と化した種ごと凍てつく
闇のなかで霜が降(お)り、その石を白くきらめかす
初めとことばは似ているが、まるで違うものなのだ
大きな星が芽生えて輝き、
石をさらにきらめかせ、
そのうちに霜はとける
水は根に沁みこむだろう
川になり、雲になり、雨になり、
すべての雫が別々の世界を映す、
すべての飛沫が別々に瞬き、歌う



「永遠の往来とともに」

空間の余白
空白の時間
その完全性をやぶれ
萌えいずる声
繁茂する歌

空間の過密
埋められた時間
その完全性をやぶれ
静かな呼吸
孤独への沈潜

不完全と完全を行き来しつづける
育て、育て


by ototogengo | 2018-02-02 00:00 |
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