中島弘貴
by ototogengo


詩 12

2月16日に書いた三作。


「ことば」

きみは語る
誰かに向かって、きみ自身に向かって、誰でもないものに向かって
きみ自身の目に、鼻に、口に、四肢に向かって
誰かがきみに応えた、きみ自身がきみに応えた、
世界がきみに応えた、あるいは応えなかった



「超次元の網」

かつて
星は次から次へと発掘された
ある星は他の星を連れてきた、
なぜなら、いくつもの星ぼしが星座をつくっていたから
時間と空間を超え、星ぼしは結ばれていた、結ばれていった
星ぼしは天に昇るとともに、わたしの中心に潜った
音をかなで、線と色をくり広げ、物語を紡ぎ、うたった、うたいつづけた

やがて
それは銀河になった
おびただしい星ぼしが光の波を放った
波は合わさりながら、ぶつかりながら、複雑な模様を描いた
うねりながら広がり、ものごとを呑みこんだ
ふるわせ、絶頂させ、あらわし、歪め、うがち、殺した
すると、世界がわたしごと生まれ変わるのだった
波は外から内へ寄せては返し、内から外へ寄せては返した
すると、波の複雑な模様が光の網に結晶した
その巨大で緻密な網は生きていた
蜘蛛の網についた朝露のように、その網には光の卵がびっしりと実った

いまや
おびただしい星ぼしは消えさっていた
はるか遠くで消えた星のように、それらは見えるがもはや存在しないのだ
光ももはや存在しない
だが、生きた網は姿を変えて残っている



「透明」

色のない闇のなかを彷徨(さまよ)う
かつて光で満ちていた場所
覚えている、どこに何があるのかを
ああ、ここだ
ここに愛しいもの、美しいものがあったはずだ
手探りする
しかし、空をきるだけ
あちらを探っても、そちらを探っても同じ
ここは寒すぎる

光が点滅する
夢と現(うつつ)のめまぐるしい交替
きみは本当にいた?
それは本当にあった?
不在の永遠の沈黙
空(くう)は果てしなく広がっており、あまりにも硬いのだ
その透きとおった氷塊のなかで息ができない
ここは寒すぎる

涙を流せた方が楽なのだろうか
いや、悲しみの酩酊さえも不純だ
春は近い、手探りして進め 

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by ototogengo | 2018-02-16 22:55 | | Comments(0)
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