中島弘貴
by ototogengo


詩 25

3月12~13日に書いた三作。


「葉」

わたしたちのひとりひとりは風に舞いつづける葉だ
縦に、横に、斜めに回転しながら、
たびたびよろめきながら

わたしたちについた二つの目は世界をとらえる、
やはり回転する世界を、
愛するひとをとらえる、
やはり回転するひとを
そのひとの回転の仕方はわたしとまるで違う、
誰ひとりとして回転の仕方が同じ者はいない

視界がまわると同時に記憶がまわる、
砕けて散らばる記憶の欠片たち、
さらには夢や幻の欠片たち、
やはりそれらも回転している、
光りながら、かたちを変えながら

わたしたちは少しずつ欠けていく
多彩に色づいては色褪せながら、
ぶつかりあったり、霰(あられ)に破られたり、虫に食われたりしながら
わたしたちの欠片が地面に降り積もる、
水面にも、空にも、透明さを増しながら
欠けきらないまま積もった葉も多い、
なかにはほとんど真新しいものまである、
最も色鮮やかなものさえ、透明になっていくのが見える、
複雑に回転する景色のなかで、消え去ろうとしている
誰があなたたちを見つけるのだろう!



「寄生、共生」

きみがいなくなり、軽やかさは失われた
この重苦(おもぐる)しさを祝福しよう
もはや、幸せに満たされて漂うことはできない
だが、重いからこそ、
鋭く、速く飛ぶことができるのではないか?
風のまにまにではなく、たしかな軌道を描いて



「転化」

体に詰まった、種をぶらさげた綿毛
皮膚の洞窟のなかで蠢(うごめ)いている
その一部は時に飛びたつ、
時に種を下にして着地する
すると、痛みが咲く
そして、花が咲く
大きな花、小さな花、
八重の、または星形の、または鐘形の花ばな
唇形の、または掌形の、または瞳形の花ばな
存分に咲け、
そして、宝石と化せ
そして、砕けるがいい、溶けるがいい
それが洞窟にしみこんで、ついには外へ出る
それらの飛沫よ、透明な光をまとって飛びたて、飛びたて
もっと多く、もっと遠くまで
わたしが虚ろになるまで


※八重(やえ)、星形(ほしがた)、鐘形(かねがた)、唇形(くちびるがた)、掌形(てのひらがた)、瞳形(ひとみがた)と読みます

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by ototogengo | 2018-03-14 11:23 | | Comments(0)
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