人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、絵、音楽、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。


【SNS】

twitter

facebook

mixi


【音源試聴】
soundcloud

my space


お仕事のご依頼、メッセージ等はこちらまで ↓
man_polyhedron@hotmail.co.jp
カテゴリ
全体
はなし
空島出版
出演、出展
言葉
言語
日記

写真

共作
本や音楽などの紹介
音楽集団“立体”
歌詞

未分類
その他のジャンル
記事ランキング
画像一覧


詩 56

5月22~24日に書いた三作。


「同時に」

雨がわたしたちにふる
わたしたちが雨にふる
はじけ、ながれ

雪がわたしたちにふる
わたしたちが雪にふる
おどり、つもり

わたしたちは息をはく
息がわたしたちをはく
めぐり、とけて

わたしたちは声をだす
声がわたしたちをだす

わたしたちは本をよむ
本がわたしたちをよむ

わたしたちは夢をみる
夢がわたしたちをみる




「転生」

巨星が出し抜けにわたしをつらぬく
その踊り狂う白熱に呑みつくされ、全身全霊が眩(くら)まされる
外からも内からも轟音が鳴り響いて、わたしという固体が気化する
いや、気化よりも先へ突き進む
閃光になり、雷になる
それでいて、わたしは荒れ狂う海だ

「出し抜けに」ではなかった
流星のように、大地震のように、それは悠久の昔から準備されていた
だが、無知なわたしに予知できるはずはなかった
また、予知できなくてよかったのだ
わたしは恐怖し、混乱し、燃やされる       今、この転機に
純化されなければ、純化しなければ、そうして初めて生まれ変われる!



「透きとおる」

透きとおりたくて、どこまでも透きとおりたくて、
夕焼け空を見るために屋上へ行く
まんまるく膨らみながら沈みゆく太陽、
橙や黄金(こがね)や赤に染まりながら流れゆく雲たち、
空間と時間によって色合いと明暗の諧調をかなでる、ぐるりの空
そのなかで立ちつくしていることを忘れるほど立ちつくす
透きとおって、どこまでも透きとおって、
半透明の暗い青に染まりゆく空気に溶ける、
夜空とわたしに小さな星ぼしが瞬きはじめる、
遠くの山の連なりは紺色の闇よりもさらに暗い

透きとおったはずが透きとおりきれず、
夜の黒さに夕焼けの記憶が、その多彩さと明るさがまぎれこんで、
うっすらとたなびいて、生活に連れ戻される
残念だ
これでいい

by ototogengo | 2018-05-25 01:14 |
<< 詩 57 詩 55 >>