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中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、絵、音楽、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。


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詩 62

6月3~4日に書いた三作。


「書くよろこび」

書こうとすること
それは事実の再現などではない
そのようなものではありえない

ことばによって透明な網をなげること
狩りのように 漁のように
感覚を 思考を 幻想を
記憶を 事物を ことばを
絡みとって たぐりよせて
ことばとそれらを数珠つなぎにする
大樹のように分岐させること
蛍のような生きた光をいくつもいくつも飛ばすこと



「体を澄ませて」

光たち まっすぐに下る
花たち 舞いながら散る
葉たち いろいろな緑を放射する
燕たち  円を描いて飛ぶ
近くから雛たちの声
ちいちい ぴいぴい降る
見上げれば太陽を背にした巣
雛たちは黒くなって見えない
燕の親たち まっすぐに昇る
別々に 青空を斜めに切って



「調理」

時間の指がわたしをちびちび引きちぎり
わたしの肥やしにする
そう 考えるひまもなく食べつづけて
おいしくも まずくもない
生のままでは

光によって焼け
闇によって焼け
愛と夢と死に漬けこんで
切れはしだけといわず からだごと こころごと
世界の味わいが変わるまで
幻のように痛い 幻のようにおいしい

by ototogengo | 2018-06-04 23:53 |
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