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中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、絵、音楽、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。


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詩 71

6月27~29日に書いた三作。


「傷」

擦りきれていく心

ああ 耐えつづけて
痛い 心の肌が剥がれていく
だが 耐えられなくもない

ああ さらに耐えつづけて
痛い 痛い 心の血が流れていく
だが どうにか耐えられそうだ

ああ ただただ耐えつづけて
痛い 痛い 痛い 心の骨がひび割れていく
だが なんとか耐えられるかもしれない

ああ ひたすらに耐えつづけて
痛い 痛い 痛い 痛い 心の内臓が破れていく
だが もしかすると耐えられるんじゃないか

ああ 耐えているかどうかわからず
痛い かどうかもわからない
心が なくなって わたしたちは死んだ

ああ 心は見えない



「街灯たち」

くらい夜道をあるく まっしろな火の玉が左右にならぶ
それらはさかさまの線香花火 色とりどりの細い火花
を数かぎりなく ちらしながら あるく動きとと
もに その火の玉の数々がゆれる 色とりど
りの細い火花も ああ ゆれている 坂
道のてっぺんから 左右にわかれる道
が見えて まっしろな火の玉がふえ
る 色とりどりの火花もふえるか
ら まるで たんぽぽの綿毛の
ようで 風にふかれて飛びた
ちそう 坂道をくだりなが
ら あるく動きとともに
火の玉のふるえが大き
くなる 火花の動き
は激しくなる だ
が いつまでも
それらは飛び
たたないし
落ちない

空へ






「大都会で 小宇宙で」

ああ こんなにも多くの人びとのなかで
あなただけが ひときわ輝いて
ああ こんなにも多くのものたちのなかで

あなたは神のように遍在し
人びとやものたちの わずかな裂け目をとおって流れこんでくる
あるいは あなたは世界よりも巨大で
建築群やそれをつつむ空気をも おおいつくしているのだろうか

(なぜ あなただけが なぜ)

すべての現実は幻 すべての感覚は錯覚
ならば この愛もまた 現実であり実感
確かに これほどまでに痛い
あなたの不在が呪いのように 痛みと愛を増幅させる
あなたのせいではない あなたとわたしの両方の 実在と不在のせい

(だが 誰もが実在と不在の混淆だ
 なぜ あなただけが なぜ)

輝きにつつまれて 輝きにつらぬかれて

by ototogengo | 2018-06-29 22:44 |
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