人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中島弘貴
by ototogengo
中島弘貴
多様なものごとと関わりながら世界を広げて深める。文筆、絵、音楽、写真をやります。

2011年に解散したバンド“立体”では、うたとギターを担当。


【SNS】

twitter

facebook

mixi


【音源試聴】
soundcloud

my space


お仕事のご依頼、メッセージ等はこちらまで ↓
man_polyhedron@hotmail.co.jp
カテゴリ
全体
はなし
空島出版
出演、出展
言葉
言語
日記

写真

共作
本や音楽などの紹介
音楽集団“立体”
歌詞

未分類
その他のジャンル
記事ランキング
画像一覧


詩 112

1月14~19日に書いた三作。


「愛?」

光をふりまく貴方は闇をもふりまく
恋愛が人を生き霊(りょう)にするのだろうか
恋愛をする人も恋愛をされる人も同時に
その限りない近さと その限りない遠さ

透きとおった石を灯かりに透かして見ると 中心に異なる色があった
その深い藍色よ
石のなかに飛びこんで わたしたちは沈む 昇る 巡る
それは本当にわたしたちだった? 本当はそこに誰もいなかった?
粉々に分解する わたし あなた
風にふかれて煌めきながら 宇宙に拡散される
ああ どこからどこまでが

昼と夜の溶けあう夕焼けのように
混じりあう無数の歌声のように
そう 全身を掻き乱す美は
放心とともに明晰さを呼び醒ます



「現在」

同時に
星ぼしが巡り
雲たちは漂う
風たちが舞い
氷河は流れる
波は雫と泡を繰り広げ
藻や貝を陸に寄せては返す
同時に
雲のなかには雪たちが
風のなかには鳥と鱗翅目が
氷河には青さと白さが
海には夥しい生と死が
光と闇が 火が 香りが
同時に
森には 川には 土には 岩には 砂には
そして 多種多様の生きものたち
それらの目のなかに 肢体のなかに 心のなかに
同時に
何十億年もの 何百億年もの あるいは それ以上もの時間がある



「再結晶」

風のなかで死んでいく声たち
それは炎を語っていた
時は失われ 記憶は忘れられる
しかし 痛みはまだ

瞳は刻む
言葉とともに世界を切り分けながら
祈りは何を止めるのか
水が透明に鳴り響くなかで

そう それは明日のことだった
あるいは 遠い未来のこと
それらを過去として語ることの虚しさ
確信できるのは やがて死ぬということだけでいい

かぐわしい香りが漂ってくる
光に包まれて消え失せるまで
昇っていく 同時に沈んでいく
高みと深みのなかで わたしたちは澄んでいく
ああ

by ototogengo | 2019-03-05 02:04 |
<< 詩 113 詩 111 >>