中島弘貴
by ototogengo


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『こびりついた夜』

新月の日や雲の多い日に、列車が夜通し走る。次の朝になると、黒い煤(すす)や黴(かび)を思わせるものが流れるような模様を描き、車体をまだらに覆っている。それは、丸一晩をかけて夜闇がこびりついたものなのだ。
そのようにして付着した夜闇を、日差しのもとで見る。すると、それは黒色のうちに虹の何十倍も多くの淡い色を移ろわせ、金属光沢をまじえながら、慎ましやかに光る。その様子は、レインボーパイライトと呼ばれる種類の黄鉄鉱を連想させる。
夜闇がいかに厖大な色彩を孕んでいるか、なぜ私達はこんなにも夜に惹かれるのか。今日、初めて目の当たりにしたそれが、以上の不思議に対する答えの一端を知らしめたように思う。
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by ototogengo | 2014-04-03 21:42 | はなし | Comments(0)